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Interview #10 Kanoco

Photograph by Masayuki Furukawa (d-cord)

Text by Kazuki Hoshino

今回のポートレイト連載企画のモデル、Kanocoへのインタビューを掲載。神戸から上京し、ラブホテル街のアパートに住みながらモデルとして活動した「デビュー当時のこと」「モデルとしての表現のこと」「これからのこと」を少しずつ探っていきます。

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モデル活動の原点となった

神戸での一人暮らし。

 

 

河原 ご出身はどちらですか?

 

Kanoco 兵庫です。実は、昔はギャルで着飾りまくってました(笑)。ファッションとは無縁な田舎で、ジャスコ、しまむらの世界だったので、ジャンルがギャルしかなかったんですね。

 

河原 今のKanocoさんからは想像つかないですね。

 

Kanoco 高校を卒業して神戸に住むようになり、スカウトさんに声かけていただいて、サロンモデルになったんです。続けていくうちに、着飾らないシンプルなファッションになっていきました。

 

河原 ファッションは好きだったんですか?

 

Kanoco ファッションは、今思えば潜在的に当時から好きでしたね。かなりの数、お仕事させていただいてたんですが、そのうちにファッションモデルをやりたくなってきたんです。当時は、ショーやヘア雑誌のほかにも、関西で30サロンくらいやりましたね。

 

河原 すごい。そこまでいくと本職ですね。

 

Kanoco ほとんどお金にはならなかったですが、楽しかったです。カメラマンや美容師さんたちと触れて「あ、こんな世界があったんだ」って。そのうちバイトよりも優先するようになりました。神戸に住んでたんで、サロンを行ったり来たり。

 

河原 そのときのアルバイトは何をしていたんですか?

 

Kanoco バーテンダーをやってました。サロンモデルをはじめるまでは、女バーテンダーになりたいと思ってんですが......。マスターには申し訳ないです。まったく違う人生になってしまって。

 

河原 でも活躍しているのを見てくれてると思いますよ。Kanocoさんのモデルの原点は、神戸にあったんですね。

 

Kanoco 神戸には、ブライダルプランナーになりたいと思って専門学校に入るために出てきたんです。美容学校も併設されてて、美容科の授業の一環でモデルをやったのが、最初のモデル体験でした。2000人の観客の中で歩いて「なんかすごい楽しい。私裏方じゃない!」と思って(笑)。結果1学期で学校は辞めちゃいました。

 

河原 私はライトを浴びる方だ! と(笑)。

 

Kanoco 夏休みに悩んで、両親に「ごめんなさい」って手紙を書いた。そのときは、ただただ自分に学校が合ってなくて、辛くて辞めたんです。当時は、自分にとりえは何もなかったんですが、サロンモデルをはじめたら、その活動を楽しんで生活の最優先にしている自分がいた。「これ好きなんだわ」と思って、それなら「東京かな、行ってみるか」って。

 

 

神戸での生活をすべて捨て

渋谷・円山町のアパートへ。

 

 

河原 神戸に住んでいたのが何年くらいですか?

 

Kanoco 2年くらいです。そこから私の激動の時代が......。

 

河原 激動?

 

Kanoco 神戸に生活のすべてがあるじゃないですか。家も友達も彼氏も。なので、やっぱりすごく悩みますよね。東京って関西人からすると、とんでもないじゃないですか。

 

河原 私も京都出身なのでわかります。1回捨てて、旗上げないと帰れないぞぐらいの感覚がありますよね。

 

Kanoco よほどの決心をしないと出てこれない。関西のメリット、デメリット、東京のメリット、デメリットを書き出し、どっちがどう多いかを比べたりして......。

 

河原 結局、東京の方が多かった。

 

Kanoco いや、神戸の方がメリットは多かったです。東京のメリットは仕事をやりたいということしかない。でもそれが大きすぎて、書き出しても意味なかったですね。結局行きたい(笑)。

 

河原 しばらく悩んで?

 

Kanoco 結構すぐでしたね。モデルになり方がわからないので、原宿でスカウトを狙おうと思って、1日勝負で東京へ出かけて、45時間練り歩いた結果、今の事務所に決まりました。それが今の所属先なんですが、実はスカウトをやっていなかったんです。美容師さんに声をかけられて、事情を話してみると、運がいいことに、事務所のマネージャと知り合いだったんです。その場で写メを撮って送ってくれて「1回遊びににおいで」と言われて、そこで所属が決まった。

 

河原 気合いと引きですね。

 

Kanoco よくあんなに行動力があったと思いますね。次にもう一度上京して、事務所と本契約して、家も1日で決め、東京に出てきました。右も左もわからないので、「渋谷 不動産」と検索した不動産屋に飛び込んで、円山町のホテル街のど真ん中のアパートに住みました。懐かしい。

 

 

上京し、すぐにやってきた

大きなチャンス。

 

 

河原 初めてのお仕事は何ですか?

 

Kanoco フェリシモの『haco.』という通販カタログです。オーディションは神戸で受けさせてもらいましたね。特技を聞かれて「テニスと卓球とスキーです」って言うと「じゃあ、やってみて」と。エアーでやりきりました(笑)。でもなぜか受かって、無事初仕事となりました。初めての撮影はやっぱり緊張しましたね。自転車乗る撮影だったんですが、スピード出しすぎて怒られました。撮れないよって(笑)。知らない自分が恥ずかしかったです。その撮影のヘアメイクさんが『装苑』に紹介してくださり、『装苑』にも出れるようになり、転がっていくようにいろんな仕事をさせていただけるようになった。

 

 

河原 そこからはどういうお仕事をされたんですか?

 

Kanoco ほとんどが雑誌ですね。『装苑』に出たくて東京に来たんですけど、初めての雑誌がもう『装苑』だったので、すぐに叶ってしまった。もうひとつ、雑誌の表紙になりたいというのが二つ目の目標でした。それも数ヶ月で実現してしまった。雑誌はocappaでした。その『ocappa』の表紙を見たときのことは忘れないですね。渋谷の『TSUTAYA』で手にとって、ほろっとくるくらい嬉しかったんですけど、買って1階に降りた頃には「次、何やろう」って。スクランブル交差点で「どうしよう」と不安になりながら歩いてた記憶があります。

 

河原 リアルですね。円山町に住んでたから、センター街の『TSUTAYA』ですね。

 

Kanoco どうしてもそのへんにいる(笑)。

 

河原 『装苑』の後は、どんな感じでしたか?

 

Kanoco まだ仕事に慣れてないからあたふたしつつ、オーディションとか顔見せで揉まれていって、お仕事が来るようになり、それでも仕事に満足いかなかったり。

 

河原 満足いかないというのは、仕事の出来に関してですか?

 

Kanoco いや、ほんとにとんでもない覚悟で東京に来てるんですよ。すべてを捨てて。だからそんなちょっとやったくらいじゃ、大きすぎる私の理想に届かないんです。自分はまだまだ全然何も成し遂げてないというか。どうすれば隙間が埋まるのか、埋めなくていいのか、埋まっちゃ終わりなのか、それはわからないですけど。

 

 

モデルの表現を考えること。

モデルとして生きていくこと。

 

 

河原 海外は考えたことないですか?

 

Kanoco 背が足りないので無理ですね。だから日本で頑張るしかない。でも、顔が出れば出るほど新鮮さはなくなりますよね。それを今すごく感じてます。ここからが本当の勝負かもしれない、と。

 

河原 すごく冷静に受け止めるんですね。

 

Kanoco モデルとしてこれからどういうスタンスをとっていったらいいか、すごく悩んでて、最近は作品撮りをたくさんしてます。

 

河原 モデルのクリエイティビティーって、写真とかヘアメイクと違って言葉にするのが難しいですよね。内面の問題もあるだろうし、表現だったらなおさら抽象的で言葉しづらいように感じます。

 

Kanoco 言葉にするのは難しいですね。とにかく今は、動いて、そこから新しい気づきがないかと思っています。

 

河原 ストイックですね。

 

Kanoco 昔から好きなことに対してはそうですね。ただその好きなことはめっちゃ少ないんです。その一番「好き」がモデルということですね。高校の部活でやっていたソフトテニスは、勝手に友達と朝練もやってました。

 

河原 モデル以外で好きなことは?

 

Kanoco お酒ですかね(笑)? モデル以外にやることあればいいのになって思います。ほんと趣味さえないんですよ。

 

河原 最後に、これからの目標を教えてください。

 

Kanoco 詳しくは言えないですが、どうしてもやりたい仕事はいくつかあります。それは叶えたいですね。あとはモデルとしての新しい方向性を見つけたい。

 

河原 演技には興味ないんですか?

 

Kanoco PVは出させていただいたことあるんですけど、本格的に演技をやるとなると芸能の領域のマネージメントも必要になるでしょうし、そこまでは今は難しいかもしれない。今はモデルが好きなのでモデルをやるけど、もし違うことにトライして、ハマッてしまったら迷わずそっちに行くと思います。好きになってしまったら、自分で衝動を抑えられないので。

 

河原 この対談連載も2年やっていますが、モデルさんそれぞれ人生があって面白いですね。2年の間にも皆人生が激動していたり。

 

Kanoco この記事がアップされているころには、私もガラッと変わってますよ、きっと(笑)。

 

 



 

Kanoco

兵庫県生まれのファッションモデル。2010年に上京。『装苑』などのファッション誌や広告を中心に活動中。

 

BARK in STYLe(公式サイト)

http://www.barkinstyle.jp/


オフィシャルブログ「kanoco's diary

http://ameblo.jp/mash-ro0m/

 




 

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