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Good Morning Yukon Vol.2 : Our Skill

 

前回の旅から2年後の2005年8月、写真家・宮澤聡は再びカナダのバンクーバーに降り立った。19日間をかけて壮大なYukon Riverを下るために。

cover20144.jpg


 僕たちのカヤックの経験といえば、前回のYukon川以来、2回目だった。
当然、スキルはそれほどあるわけではない。
 しかし、今回のBig Salmon Riverでは、割とスキルが必要だよ! 難しい川だから! と出発前に脅かされていたので、最初は怖々この旅に望んでいた。というか、はっきり言って、僕はビビっていた。しかしここまでは、それほど船の操作的に困難な箇所にまだ出くわしてはいなかった。いろいろ天候などで難しくなったところはあったが、川自体にそれほど技術がいるところはなかったのだ。これまでは余裕だった。

 お昼ぐらいまでは、順調そのものだった。しかしここからこの川の難しさが現れるのである。そもそも地図上で見るとBig Salmon Riverは、蛇のようにクネクネとカーブしている。実際カーブは多いのだが、それほど難しいというほどではなかった。
 そしてしばらく下っていくと、川幅が狭くなって流れが速くなってきた。次のカーブを曲がって直線に入ったとき、高低差があるのか流れが急に速くなった。そして、小さな段差のある階段。つまり、歩幅より段差が小さく上り下りしづらいみたいな階段があると思うのだが、そこを船でゴトンゴトンと音を立てて下っているような感じで水しぶきが顔にかかる。


going seiji at big salmon.jpg



 そして先に見えたものは、ふてぶてしい大きな態度をして、大きな顔をして水面から突き出している岩だった。それが正面に陣取っているではないか。うあ〜! あんなものにぶつかったら大変だ! 右か、左か、どっちに行く? 流れが速く、迷っている時間がない。どっちだ〜! どっちだ〜! 右だ! おれは右だ! なぜかというと僕は、右利きだから迷わず右! という、よくわからない理由で右側を通りすがった。その際に岩を見たら「でけっ!」と声をあげたくなる大きさだった。この岩をかわすのは、別に難しいことではないが、流れが速いため、迷っているとたちまち川の藻屑とかすだろう。

 そしてその岩をかわして安心しているのもつかの間、次の障害が目の前に現れた。

 岩をやり過ごし、ほっとしたのも束の間、目の前に現れたのが90度ターンの鋭角な石で囲まれたS字のカーブ。それもそこは、水流が速く水量が半端なく溜まっていてカーブの中程に洗濯機のように渦が巻いている。大量の流木も溜まっていた。

 うわわわわあ! どうする? どうする?
どうもこうもやるしかない!停まることができないんだからターンして切り返して突破するしかない! そして僕たちは、そのまま突っ込んでいった。まず最初に左に90度ターン! それから奥が右90度ターン! まずSeijiがカーブ差しかかったらすぐに左にターンを試みる。そして、僕のターンはタイミングがちょっと遅れてしまった。すると、水流が強くSeijiが少し流されてカーブの真ん中ぐらいで左ターンを成功し次の右カーブへ。
 僕のターンのタイミングが少し遅れた分だけ流された距離が長い。やべやべ! 渦の方に吸い込まれる! カヤックの舵を足のペダルでいっぱいに左に切って、体を左にいっぱいに倒して、オールを漕いで漕いで、まるでラリーカーが後ろのタイヤを滑らせながらコーナーを曲がるように、カヤックの後ろが滑っていき渦に少しかかった! そして壁と流木が迫って来た! やべやべ! と言いながら漕いで漕いで後ろをすべらせながら脱出した。そして、右カーブだ!僕たちは、今度は右側に舵を思いっきり切って、体を思いっきり右に倒して、カヤックの後ろがまた滑った。

 漕ぐ漕ぐ! とにかく漕ぐ! 後ろが滑りすぎると回転してしまい、そのまま川岸の壁に当たってしまう。そうなる前に体制を立て直す技術など習ったことがない僕たちだが、人間やればできるんだな! と思われるくらい見事なターンを披露する僕たちだった!そして僕たちは、素晴らしい技術でS字のカーブを乗り切った。


Going under the tree.jpg


 いや〜! おれたち腕上がったんじゃないの!
 もう僕たちは、上級者だね! とこの難関を乗り切った自分たちを誉め称えた。

 そして、しばらくして穏やかな川に戻ったところで、上陸して小休憩をすることにした。そこでSeijiが、川で泳ぎたいんだよね! と言ってきた。いくら夏とは言ってもここの川の水は、基本雪解け水だから冷たい。転覆したら死亡者がでるのは、冷たくて低体温症になってしまうからだ。確かに、泳ぎたい! 気温自体は30度近いのだから暑い!

 しかし、手を水の中に突っ込めば冷たいのでちょっと勇気がでないし、とりあえずSeijiが気持ち良さそうに泳いだので、僕も入ろうと思ってSeijiに、入りなよ! おれ、ちょっと見てるから! と言った。

 そうしたらなんと、Seijiは用意周到に海パンを持ってきていた。
 え〜! 海パン持ってんの? マジで?
 Seijiは、着替えながら、川で泳ぎたかったから持ってきたんだ! と。俺の頭の中には海パンなんて文字は、思い浮かぶこともなかった。
 だって、山だよ! だって北極圏に近いんだよ!
 でも、ちょっとうらやましかった。確かに、普通のパンツ一丁で泳いだら、乾かすのがめんどくさい。新しいパンツに着替えるのも面倒だし、海パンならそのまま過ごせるし、とにかく、最初は見守ることにした。
 そして、彼は勢いよく川の中へ飛び込んでいった。
 お〜、行った行った!
 そしたら、10秒もしないうちに急いで川から出て来た。
 寒い寒い! 冷たい! 本当に冷たい!
 上がって来てぶるぶる震えている彼を見て、かなり面白かった。
 そうしたら、もう一回チャレンジする! と言いはじめ、また勢いよく入って行った。

 しかし、今回も見事にノックアウトを食らって、
 寒い! 寒い! と言いながら、速攻で川から脱出してきた。


swiming seiji.jpg


 そっか〜! そんなに冷たいのか? ちょっと入りたいな〜! 経験したいな〜!
 いいな〜! Seijiは、そんな冷たい経験ができて!
 おれもしてみたい! と言う気持ちがふつふつと湧いてきて、入りたい! のだが、体が入るな! と言っているように体が動かない。それで僕は仕方がなく入るのを諦めた。
そして今夜のキャンプ地へ向けて出発した。そのときちょっと後悔をした僕がいた。

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