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Good Morning Yukon:Hiro's event

 

2003年の7月、写真家・宮澤聡は初めてカナダのバンクーバーに降り立った。全長900km、16日間をかけて壮大なYukon Riverを下るために。

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旅をしていると人間性に出る! と言うがそれは本当である!

たとえば、旅をしている男女間でパートナーが本当に頼りになるのかどうか、信用できるのかどうかがわかったり。友達も然り、旅をするとよくわかるものです。

さて、ぼくたちはどうか? と言うと、それぞれ性格も性質もばらばらで、3人きれいにばらばらな性格である。ぼくが思うに唯一共通しているところは、協調性がないところ! これを言うと、お前の方が協調性ないとか、お前の方がとか、言い合いになるのでここまでにしときます。そんな3人だが、国内外含め何回か旅に出ている! いつもなんだかんだで、話のネタになることによく遭遇する。おたがい干渉しないから、楽なのであろうと思う。


th_Reluxing in Camp Teslin.jpg



ただ、この旅でよく憶えているのは、ヒロくんがやたらにとばすこと! とにかくとばす!! ひとりでさっさと漕いで行く! おれたちとどんどん離れて行く! そして、だんだん姿が見えなくなる!

seijiくんが言う、あいつあんなにとばして昼飯のときどうするんだ? おれたちが上陸したいところがあってもあんな先にいたら戻ってこれないぞ! 先に行きすぎるとあそこで上陸って叫んだって、川の流れがわりと早いからヒロくんの先行しだいでは、彼は上陸できない! そんなことも考えずに何か知らないけどすぐ先行する。本当にひどいときは、何キロも離れたことがあった。でも、彼もあまりにもぼくたちの姿が見えないと途中どっかの岸で待ってたりする。大河をひとりで下るのは、寂しいからね! とぼくは思う。

そんなヒロくんに事件が起きたのは、5日目もうすぐYukon Riverと合流という手前だった!


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Teslin Riverは、基本的に川幅もあるし、そこも深い。しかし、数カ所は幅が狭いところもあるし、浅いところもある。そんなことを知ってか知らずか、どでかい筏それも二階建ての巨大な筏を作って下っている連中がいた。あれならどこにも上陸しないでその上で暮らせるぞ! って思うほどでかい!!

その筏が案の定、僕たちの先にある浅瀬に座礁していた! そこは、左にカーブしていて川幅20m~30mぐらい。そこの左側に座礁していた。しかし、あれどうするんだ? でか過ぎて人の力じゃ動かんぞ! でも、筏にカヌーも積んでいたから、彼らは、どうにかなるだろうが、あの筏はただのゴミと化すぞ! アイデアは、おもしろいけど結果が悪すぎる。

後から流れてくる流木やなにかがそれによって溜まってしまっては、最悪状態になる。迷惑な話である。

たまに、壊れたカヤックやカヌーがそのままほったらかしになっているのを見る。そのまま、ほったらかしにするのもどうかと思うが、その背景を考えるとぞっとする。もしかしたら、座礁して投げ出されて死んだのか? とか転覆して死んだのか? とかとにかく死んだのか? と勝手な想像をぼくは、膨らませてしまう。壊れたカヌーの朽ち果てた感じがぼくにそれを想像させてしまう!
そのときいつも思う! ぼくは、生きて帰るんだ!! 生き延びてやる!! ぼくは今、生きてます!! ちょっとオーバーだったかな。


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さて、ヒロくんだが、やはりぼくたちの前を50mぐらい先行していた。その座礁した筏をやり過ごし、左カーブの一番右から攻めようとした! ぼくらからの位置でも右奥がいちばん浅くなさそうに見える! そして、右奥に進路をとったヒロくんは右から回り込んできた! ぼくたちも彼の後を続こうと彼のあとを追った! そして、ヒロくんが流れに乗って右奥から突っ込んできた! そのとき、ボンッと大きな音と共になんとヒロくんが飛んだ! きれいにカヤックごと
飛んだのである! ぼくたちは、一瞬なにが起きたんだ? と言う目の前に起きた光景におどろきと動揺を隠せなかった! ヒロくんのコースには、水面の下に岩があり、それを回避できないヒロくんがその岩の上に乗っかり、ジャンプ台のようになり、ジャンプしたのだった!

ぼくたちは、おいおい、大丈夫かカヤック! 穴、開いてねーか? と心配する前に笑ってしまった! 飛んだとんだ! ヒロ飛んだ!

しか~し、ぼくらも笑っている暇はない! ぼくたちも、ヒロくんのコースから行こうとあとを付いて行ったわけで、急いで方向転換!! ぼくたちは、ど真ん中の浅瀬につっこんで行った! 浅瀬に行くと岩でなく、砂利の浅瀬であった。水深50cm、30cm、20cm、10cm......とうとうスタックした。しか~し、降りて引きずって浅瀬を無事に乗り切った!
 
いやー、しかしあの光景は、今思い出しても笑える!


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とにかく、ヒロと合流して船底に穴開いていないことを確認した。なんにも穴が開いてなかったから良かったものの、もし開いていたら、ヒロくんの旅は、そこで終了~! ってことになっていたのかもしれない!

そして、また漕ぎだしたぼくたちは、とうとうこの日、本流Yukon Riverに合流した! この先には、まだまだ長い道のりが待っている! いざ、一路、中間地点のCarmacks に向けてGO~!



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