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Good Morning Yukon Vol.2 : Storm

前回の旅から2年後の2005年8月、写真家・宮澤聡は再びカナダのバンクーバーに降り立った。19日間をかけて壮大なYukon Riverを下るために。

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 とうとう漕ぎだした。青い空の真下をゆっくりと進んだ。湖を進むのはなかなか快適だ。天気もいいし、気温もちょうどいいT-shirts Weatherだ! カヤックの先端が水を斬る様が見事な切れ味だ!

 ただ、この湖はバカでかい。岸を見るとあまり進んでいる気がしない。Quite lakeは、縦長である。だいたい琵琶湖をもうちょっとデカくして縦長にした感じだろうか? とにかく、その縦長方向に進まなければならない。漕ぎ始めて2時間ぐらいたっただろうか。まだ湖の出口が見えない!

 Seiji〜! まだかな~! 出口?
 いや~!まだだいぶかかるな!
 今俺たち、まだここだぞ!
 ひえ~! まだ1/3も進んでないじゃん!
 そっか~! いや~まじで? 少し飽きてきた!
 
 やっぱりここを脱出するには、時間がかかりそうだ!


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 漕ぐのをやめてカヤックの上で一服ってときも、川の上なら何もしなくても川の流れがあるから勝手に進んでくれるのだが、ここは、漕ぐのをやめるとぜんぜん進まない! 湖なのだから進まないのは、当然だ!

 昼飯代わりにスニッカーズを頬張り、ひたすら漕いだ。どこかに上陸して昼ご飯を作って食べるより、早くキャンプ地まで進んで夕食を少し豪勢にしたかった! でも、腹減ったな~! スナックじゃ腹なんか膨れね~!


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 さすが山の中の人里離れた湖だ、水が綺麗だ! 今回も僕たちは、水は一切持ってきていない! 持ってきた水分は、酒だけ! スコッチとビール! 水は当然濾過して飲む! なので水が綺麗なのは、うれしい! 

 そして6時間ぐらい漕いだろうか? やっと出口が見えてきた。今夜は、その出口の所にあるキャンプ場で! よし! もう少しだ。夕方、7時ぐらいだろうか? やっと第1日目の行程が終わった。前回のときは、まだこの時間は昼間のような太陽だったが、今回は、ちゃんと夕方だった。そう! 今回は、ちゃんと夜が来るのです。
1ヶ月ずらしただけで、こんなに違うのかと思ったほど夕方だった。そして、また新しいことを発見! それは、蚊が少ない! 前回は、本当に蚊に悩まされた。蚊がいないわけではないが、圧倒的に少ない。ここまで蚊が少ないとは思わなかったのでビックリ! でも相変わらず、現地のテカテカになる虫除けスプレーを塗らないとやはり刺されます。

 そして第1日目のお疲れビール! う、うまい! 正直これがしたくてカヤックを漕いでいるといっても過言ではない! 今回の僕は、前回と違ってちゃんとペースを考えて飲むということを学んでおります。なので、この先お酒がなくなってしまうなんてことは、起きないのです! いや、起こさないと思うのでした! ビールも前回より多く持っているので大丈夫!! そして、第2日目の朝を迎えた。


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 まずは、Sundy lakeを抜けてBig Salmon lake へ! Sundy lakeは小さくてそんな苦労するところはないが、Big Salmon lakeはそこそこ大きいので、今日の目的地はBig Salmon lakeをぬけてその先にあるキャンプ地か、時間次第だがさらにその先まで。

 7月なら白夜なのでいくらでも残業はできたが、今回は夜が来るので、日が暮れるまでにキャンプ地を見つけなければならない。一応1日のタイムリミットがある。まずは、Sundy lakeをさらっと抜けようと考えていたのだが、Sundy lakeに入ってみるとそこは何もない湖というよりは、湿地帯のような水草がたくさん生えている湖だった。

 そこでSeijiくんが「こういうところって魚がたくさんいるんじゃないの? ちょっと釣りしよう!」と言うので、やってみることに。まあ、きのうQuite lakeで一匹も釣れなかったのでそのリベンジだ。

 ところがまったく音沙汰なし! ぜんぜん釣れません! 魚はどこに行ったのだろう? 前回ならもう2、3匹は釣ってもいいような場所なんだけど......。結局、1時間ぐらい格闘したが収穫ゼロでSundy lakeを後にすることに。そしてBig Salmon lakeへ!


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 Big Salmon lakeに着いたのは、お昼を回っていただろうか?! ちょっとスケジュールが押している。ここで取り返さなければ目的地に行くまでに遅くなってしまう。本当は、その先まで行きたいのだから。

 Big Salmon lakeに着いたとき、ふっと空を見上げたら、僕らの進む方向に暗黒からの使者のような真っ黒な雲が、闇の世界へ封じ込めようと少しづつ僕らの方へ進んでくる。ちょっと嫌な予感する。


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 またこの湖も大きい。出口は見えない。空は、真っ昼間だというのに夜がすぐそこまで来ているような暗黒が僕たちの進む方角にある。とにかく、先を急ごう!

 僕たちは、漕ぎだした。漕ぎだしてどのくらいだろうか? 1時間ぐらいしてからだろうか? 今まで無風だった湖に風が吹きはじめてきた。やばいな! それも向かい風だ! 湖は流れがないから、向かい風に吹かれると進むのに一苦労だ!

 そしてそのうちに空が完全に暗黒に覆われ、一気に風が強くなった! それも風が異常に冷たい! 湖はまるで荒れる海のようにうねりはじめた! ぜんぜん進まない! オールが風で持って行かれそうだ! また、冷たい風で温度がどんどん下がっていく。たまにカヤックに当たる横波によってバランスを崩される。やばい! これでは、湖を渡るなんて無理だ! しかしここは湖の上。漕ぐしかない!

とにかく、漕ごう! 転復させられるのか、それとも無事に渡れるのか? 僕たちは、あの暗黒の使者に立ち向かうしか手はなかったのです!




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