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Nikkei Brasileiros!

vol.1 ジュン・マツイ(タトゥーアーティスト/俳優)

 

eye_photo09.jpg「普通、どこか外国に行くとすると、その国そのものに目的があると思う。たとえばどこそこの建物が綺麗だとか、どこどこの料理が美味しいとか。でも俺の場合は違うんだ。そういうのはあまり関係ない。国という"場所"に魅かれているわけではなくて、そこに"誰"がいるか、なんだ。俺にとって会いたいと思う人間が居る。その人がたとえば日本にいるとする。だから俺は日本に行きたいと思うんだ。その人がいる、という理由があるからこそ、その国がもっとリアルに見えてきて、より楽しめる」内的要素を重視する考え方は、彼のタトゥーの作品にも色濃く反映されている。神仏や龍をモチーフにした和彫りや、ポリネシアのトライバル模様のような、精神性やアイデンティティを自分の肉体に刻みつける種類のものが、彼の作品のルーツとなっている。



eye_photo10.jpgいろいろ話しているうちに、ずいぶん時間が過ぎた。ポートレイトを撮らせて欲しいと頼み、バックヤードにでた。シャイな彼はほとんどカメラを見ない。僕もあらたまってしまったので、どうやって素顔のジュンさんに戻ってもらおうかと思っているところへ愛猫がするするとやって来た。一瞬にして場が和み、僕が撮りたかった優しい表情をしてくれた。一気に写欲が湧いた僕は、あっという間にアトリエの様子も撮影し、ジュンさんの環境を紹介するには充分な素材を得た。
 

eye_photo11.jpgのサムネール画像アシスタントの面接に来たチャイニーズの女の子と入れ替わるように、僕らはジュンさんの家をあとにした。帰りのタクシーで暗くなり始めたサンパウロの街を眺めながら、最初の撮影がジュンさんでよかったと思った。今回の旅はすばらしいものになるだろうと確信した。


eye_photo12.jpgその晩、お礼のメールを書いた。「1st」と題して、会う約束をしたのは一番最後だったのに、一番最初に撮影したのがジュンさんだったという不思議な巡り合わせを伝えた。

「2nd」と題された返事で、僕らは週末に市場で買い物をして一緒にランチをしようと誘ってもらった。日曜日、ジュンさんの手作りの料理をご馳走になり、またそれも忘れがたい思い出となっている。










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